デカダンの華たち vol.1
1939 Delahaye165 Figoni et Falaschi Cabriolet
1929年の世界恐慌以後の混沌とした情勢の中、30年代のフランスに出現した時代錯誤的な豪華で耽美なデザインをまとった車です。特に、この時代の象徴的なボディ架装を行ったのが、フランスのカロスリー「Figoni Et Falaschi」でした。
この球根型と呼ばれる特徴的な真紅のボディのカブリオレはきわめて有名な個体で、
ペブルビーチのコンクールでも受賞歴を持っています。
2013年制作・A4サイズ
1939 Bugatti Type 57C Van Vooren Cabriole
ブガッティは1909年にエットーレ ブガッティによって創業されたフランスの自動車メーカーです。自ら自動車の設計を始めるようになり、高級クラスの市販車とグランプリレースでの活躍とで知名度を上げました。
現在はフォルクスワーゲン傘下にあり、スーパースポーツカー「ヴェイロン」を生産しています。
ヴァンヴーレンは、当時人気を集めたカロシェ(車体架装業者)の1つで、
フィゴニ エ ファラシと同様に贅を凝らした絢爛豪華なボディを架装したことでよく知られています。
保守的なデザインのものがある一方でこのクルマのような曲面的なボディの制作例もあります。
ドライエ、ドラージュ、タルボラーゴなどと共に、豪華なボディを纏ったブガッティもコンクールデレガンスにおける花形として君臨しました。
このT57Cカブリオレは当時のフランス政府がイランのシャー(国王)の結婚の贈り物として贈呈したきわめて有名な個体で、
現在でも極めて良い状態で残されており、数々のコンクールで賞を受賞しています。
オリジナルは漆黒のボディですが、紫の方がセクシーなのでちょっとアレンジしてみました。
2013年制作・A4サイズ
1934 Voisin C-27 Aero Sport Coupe
ヴォワザンはフランス航空界のパイオニアとして知られるガブリエル ヴォワザンによって設立されたメーカーです。飛行機の開発・生産から始まったメーカーですが、第一次大戦後に自動車生産へ転向しました。
しかし、第二次大戦後の高級車市場の衰退による影響は大きく、1946年にシトロエンに合併されました。
ヴォワザンの自動車は、そのきわめてエッジの効いた平面的デザインが大きな特徴(全てにあてはまるわけではないですが)と言えます。 ガブリエル ヴォワザンは曲面的デザインがもてはやされた中でも、独自の美的感覚を貫きました。
エンジンは旧式のスリーブバルブ形式にこだわっていましたが、ボディデザインはどれも非常にユニークで、
先進的と思えるものも少なくありません。
このアエロスポールクーペは、平面と曲面とがバランスよく混在する前衛的なデザインが特徴で、当時もてはやされた流線型デザインを、 ガブリエル ヴォワザンの解釈で昇華させたもの言っても過言ではないでしょう。
この前後に製作された車に似たデザインを見出すことができ、
それらのデザインが戦後、有名な大衆車シトロエン2CVに受け継がれていきました。
モデルとなった車は、灰色の2トーンですが、こちらも私の独断でブルーの2トーンに仕上げました。空の青と海の青のイメージです。
2013年制作・A4サイズ
1938 Hispano Suiza H6C Dubonnet Xenia Saoutchik Coup
イスパノ スイザは19世紀末にスペインで創業されたメーカーで、自動車やエンジンの設計開発、戦争中は兵器の設計開発も行いました。高級車の市場はスペインよりもフランスの方が大きく、その拠点をフランスへと移し、
1914年よりイスパノ・スイザの名で高級車を生産し販売を始めました。
高級車ブランドとして内外で大きな成功を収めたほか、航空エンジンの製造会社としても成功しました。
この未来的なクーペは、パイロットとレーサーとして名を馳せたアンドレ デュボネの為に1台だけ制作された、
特注のストリームライナー(流線型車)です。そのデザインに飛行機の要素が見出せます。
ボディのデザインには、航空力学・流体力学の専門家が携わり、その架装は一流のカロシェの1つだったソーチックがおこないました。
曲面ガラスに覆われた運転席はまさにコックピットで、ボディと並行に開くドアも極めてユニークです。
伸びやかさを強調するため、ボンネットを少々長めに、車高も低めてあります。
2013年制作・A4サイズ
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